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“美人の湯”磐梯熱海温泉でSNS映えするアートを満喫

温泉街に点在する多彩なミューラルアート

共同浴場の壁を泳ぐシロクマに、ブロック塀を歩くペンギンたち。いったいここはどこでしょうか?

 

ここは、福島県のほぼ中央に位置する磐梯熱海温泉。“美人の湯”として知られる温泉地ですが、近年は上の写真のようなSNS映えする「ミューラルアート(壁画)」があることでも話題なんです。

 

ミューラルアートがあるのは、清流・五百川沿いの「荻姫ふれあい通り」。磐梯熱海温泉観光協会の「荻姫ふれあい通りアートストリートプロジェクト」の一環で、2016年から新進気鋭のアーティストたちによる制作がスタートしました。現在は通り沿いの5カ所にミューラルアートが点在していて、アートめぐりをしながらまち歩きを楽しむ人が増えています。

 

 

旅館『金蘭荘 花山』の外壁を彩るのは、フランキー・スィーヒさんの手による美しい絵。海の中を思わせる幻想的なモチーフが織り成す作品は、“アートな温泉宿”がコンセプトの旅館にぴったりです。

 

 

太田熱海病院の宿泊施設『緑風苑』の塀には、福島県の鳥キビタキと花ネモトシャクナゲ、太田熱海病院のシンボル桔梗(キキョウ)が描かれています。こちらもフランキー・スィーヒさんの作品。『金蘭荘 花山』の抽象的な絵とは異なり、福島の豊かな自然を象徴する動植物がストレートに表現されています。キビタキは2羽いて、橙色がオス、緑色がメスとのことですよ。

 

 

旅館『深山荘』へと至る民家の塀に描かれているのは、可憐な白い花を咲かせる梨畑。いわき市出身の大和田沙穂里さんの作品で、磐梯熱海の名産である梨にインスピレーションを得てつくられたそう。やわらかな色合いが春の風を感じさせてくれて、ほっこりとした気分になります。

 

 

梨畑のミューラルアートのすぐ近く、『深山荘』に隣接する『ギャラリーカフェ杢(もく)』のガレージではフランキー・スィーヒさん作の「トーチ・ジンジャー(熱帯アジア原産の常緑多年草)」が迎えてくれます。色鮮やかな大輪の花はSNS映えすること間違いなし。ほんの少し歩いただけで、まったく個性の違う作品に出合えるのが楽しいですね。

 

 

冒頭でご紹介したシロクマの写真は、共同浴場『宝の湯』のミューラルアート。Emi Tanaji(エミ・タナジ)さんが『宝の湯』を水槽に見立て、悠々と泳ぐシロクマを描きました。レトロな共同浴場とアートという意外な組み合わせが、なんとも言えない味わい深さを醸し出しています。横の壁には子グマとクラゲもいるので要チェックです。

 

 

『宝の湯』隣の民家のブロック塀では、ペンギンたちが氷の上を行進しています。塀の前に立って写真を撮れば、ペンギンと一緒にお散歩している気分を味わえますよ。

 

 

ミューラルアートはいずれも見学自由。 荻姫ふれあい通りの旅館やお店の前には、福島大学の学生さんたちがデザインした行灯(あんどん)も飾られています。温泉街をのんびり散策しながら多彩なアートを満喫してくださいね。

 

スポット情報

荻姫ふれあい通りミューラルアート
住所:福島県郡山市熱海町熱海4丁目~5丁目 荻姫ふれあい通り
電話番号:024-984-2625(磐梯熱海温泉観光協会)
駐車場:あり(「ケヤキの森足湯」隣の郡山市役所熱海温泉事業所駐車場などを利用)
ホームページ:http://www.bandaiatami.or.jp

 

 

アートめぐりの後は“美人の湯”で美肌になろう

磐梯熱海温泉の開湯は、約800年前の鎌倉時代とされています。化粧水のようにまろやかな湯は、pH9.1のアルカリ性単純温泉。皮膚の古い角質を落とす効果があるとされ、古くから“美人の湯”“美肌の湯”として親しまれてきました。

 

現在は20軒ほどの旅館が建ち並び、それぞれに趣向を凝らした風呂で“美人の湯”を楽しむことができます。日帰り入浴ができる旅館もたくさんあるほか、多目的施設『郡山ユラックス熱海』内の温泉も気軽に立ち寄れて人気です。

 

 

そして磐梯熱海温泉といえば有名なのが萩姫伝説。南北朝時代、京の都に住む美しい公卿(くぎょう)の娘・萩姫が不治の病で苦しんでいました。ある夜、夢枕に立った不動明王から「都から東北方面に向かって500本目の川岸に霊泉がある。それに浸かれば全快する」というお告げを受け、姫は侍女とともに旅に出ます。苦難の末に都から500本目の川、つまり現在の五百川沿いにある磐梯熱海温泉にたどり着き、湯に入ったところたちまち病は全快。萩姫は以前の美しさを取り戻し、磐梯熱海の湯に深く感謝して京の都へ戻ったと伝わります。“美人の湯”にふさわしい素敵な伝説ですよね。

 

温泉街には「磐梯熱海駅前足湯」「ケヤキの森足湯」、旅館『栄楽館』前の「お美あしの湯」の3つの足湯があり、散策の合間のひと休みにぴったり。足を浸けるだけでも肌がすべすべになる“美人の湯”の実力を実感できるので、ぜひお試しを。

 

 

ちなみに「熱海」という地名は、鎌倉時代にこの地の領主となった伊東祐長がふるさとの伊豆を偲んで名付けたといわれています。海がないのになぜ熱海なのか不思議でしたが、こんな由来があったんですね。

 

スポット情報

磐梯熱海温泉
住所:福島県郡山市熱海町熱海
電話番号:024-984-2625(磐梯熱海温泉観光協会)
駐車場:あり
ホームページ:http://www.bandaiatami.or.jp

 

 

スケート体験やケヤキの森散策もおすすめ

温泉やアートに加え、多彩なスポーツを楽しめるのも磐梯熱海の特徴です。温泉街の近くには、体育館や多目的グラウンド、サッカー場、屋外スケート場などを備えた『磐梯熱海スポーツパーク』をはじめとするスポーツ施設が点在。『郡山ユラックス熱海』には温水プールがあり、2時間500円で利用できます(大人料金)。

 

その隣にある福島県内唯一の屋内スケート場『磐梯熱海アイスアリーナ』では、9月1日から5月31日までスケートやアイスホッケー、カーリングなどが可能。スケート靴の貸し出しもあり、気軽にスケートができるので挑戦するのもおすすめですよ。リンクの一般開放時間(スケート滑走時間)は月ごとにホームページに掲載されるので、そちらでチェックを。

 

 

スポット情報

磐梯熱海アイスアリーナ
住所:福島県郡山市熱海町玉川字反田1-1
電話番号:024-984-5377
駐車場:あり
ホームページ:https://www.icearena.jp
冬期(9/1~5/31)個人利用料金:一般400円、貸スケート靴300円

 

グリーンシーズンなら、温泉街を流れる五百川裏手の蓬山(よもぎやま)に広がる「ケヤキの森」散策へ出かけましょう。樹齢300年を超えるケヤキの巨木が70本以上群生していて、約400mの散策路が整備されています。

 

 

幹に大きなコブがあるユニークな形(「アガリコ」と呼ばれます)のケヤキが多く見られるのがこの森の特徴。かつて村人たちが炭の材料として幹を切り、それを繰り返すうちにコブ状に盛り上がってこういう形になったのだとか。ブナのアガリコは全国各地で見られますが、ケヤキのアガリコは珍しくて貴重なものだそうです。ぜひ足を運んでみてくださいね。

 

スポット情報

ケヤキの森
住所:福島県郡山市熱海町熱海5丁目
電話番号:024-984-2625(磐梯熱海温泉観光協会)
駐車場:あり
ホームページ:http://www.bandaiatami.or.jp

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